糖質制限者の多くは「糖質」さえ食べなければ良いと考え、沢山の老化物質(AGE)を摂取していることに気づいているだろうか?
健康的な糖質制限は「レアステーキ」、「刺し身」や「蒸し料理」が基本になる。その理由とは?
AGEの知識なしに糖質制限を始めるのは相当に危険だ。今回は著書「老ける食べ方 若返る食べ方|山岸 昌一」を参考に、さらに糖質制限レベルを高める方法を抽出して紹介していきたい。
目次
著者|山岸 昌一
著者は山岸昌一医師。東京都の昭和大学病院附属東病院の診療科・教授。
世界的な老化研究の権威であり、体内の老化レベル測定法(AGE)をいち早く確立。老化予防に対し雑誌やメディアにも多数出演。
老化原因は糖化(糖質)であると主張する一方で、糖質制限に対しては否定的で1日のカロリーの50%は糖質から摂取するべきと主張している。いわゆる玄米や野菜を先に食べるといった「選択糖質」を推奨しており糖質制限は推奨しているわけではない。
老化(AGE)の 原因とは?
本書が主張する老化原因はたった1つ。糖質や加熱調理で発生する「AGE(終末糖化産物)」だ。
AGEとは
AGE(終末糖化物質)とは、細胞の老化(シワ、シミ)、疾患(癌、炎症)を引き起こす老化物質。
糖(米や小麦製品に含まれる)とタンパク質が結びつく反応を「糖化」と呼び、その糖化が進行し末期状態で発生させる物質を最終形態・AGE(終末糖化物質)と呼ぶ。
AGEはカラダの各細胞に蓄積しカラダを変性、劣化、老化させていく。皮膚のたるみはAGEがコラーゲンを変性させてしまうため。またシミは大量のAGEが蓄積することで生まれる。
AGEは高温調理(揚げ物、焼き物)した食品でも発生し、口にした7%が体内に蓄積する。
AGE(老化原因)が発生する2つの食べ物
AGEが生まれる原因は主に2つ。糖質によって生まれる「糖化」と、「高温調理」だ。それぞれ説明していく。
AGEの原因1|糖化
まずは糖化。簡単にいえば、糖質(砂糖、米、小麦製品、芋など)の摂取により細胞が糖まみれになってしまう状態。糖質制限をしないかぎり糖化を防ぐことはできない。
糖化(メイラード反応)とは
糖化とは「糖」と「タンパク質」が一緒に加熱されることで糖とタンパク質が結びつく現象。メイラード博士によって発見されたためメイラード反応とも呼ぶ。
例えば、パンケーキ表面のこんがりとした焼き目は「糖質(薄力粉、砂糖)×タンパク質(卵、牛乳)」を加熱することで発生する。
人体でも「糖質(米、パン)×タンパク質(細胞)×体温」の条件で細胞が糖化する。糖尿病(高血糖)があらゆる合併症を引き起こすのは糖化が発生しやすいことが原因だと考えられる。
初期状態(糖化)であれば細胞から糖を摂ることが可能だが、末期状態(AGE/終末糖化物質)で回復する事はできない。
AGEの原因2|高温調理
AGEは熱によっても発生する。例えば、生の牛肉が[AGE:707]に対しフライパンで焼いたステーキは「AGE:10,058」まで上昇。調理温度が高ければ高いほどAGEは上昇し毎日カラダに蓄積していくのだ。
AGEを減らす5つの方法
僕自身、糖質制限は、若返りにピッタリな食事法だと考えているが、AGEを抑えることでさらにその効果を高める事ができることができると思う。
今回は本書を参考に糖質制限に取り入れたい4つのAGE対策をピックアップしていきたい。
AGE対策1|調理は[生⇒蒸す⇒炒める⇒焼く⇒揚げる]の順に
AGEを増やさない調理は「生⇒蒸す⇒煮る⇒炒める⇒焼く⇒揚げる」の順番と覚えておきましょう。
引用:老ける食べ方 若返る食べ方
食品は調理温度が上がるほどAGEが上昇する。10度上がるごとにAGEは2倍となる。
「蒸す/ゆでる」といった水を使う料理法は100度が限度だが、揚げ物は170度から200度となるのでAGEは最高1000倍発生する。口にするものの7%は常に体内に蓄積されていくことを考えると料理法はかなり重要になってくる。
さらに「温度×時間」でAGEは上昇する。例えば、スクランブルエッグは加熱時間がすくないのでAGEはほとんど発生させないのだ。「ステーキよりシャブシャブ」、「焼き餃子より水餃子」というような選択が重要になってくる。
以下は調理別のAGE発生量をまとめたものだ。
食材 調理法 AGE 牛 生 707 超レア 800 焼く
(フライパン)10,058 鳥 蒸す 769 バーベキュー 8,802 唐揚げ 9,732 魚 刺し身
(サーモン)528 鍋 761 マグロ缶
(水煮)452 マグロ缶
(オイル煮)1,740 焼き魚 3,084 卵 スクランブルエッグ 173 オムレツ 223 目玉焼き 2,749 参考:老ける食べ方若返る食べ方
AGE対策2|酢やレモンを使用する
焼く前に酢やレモンでマリネにしておくとAGE量を抑え、おいしくいただけます。
引用:老ける食べ方 若返る食べ方
酢やレモンにはAGEを揚げない効果があるようだ。例えば鶏肉や牛肉、魚などをグリルする際にはレモンや酢でマリネしておくことでAGE量を抑える事が可能になる。
AGE対策3|アンチAGE食品を摂取する
アンチAGE食品の代表は、食物繊維の多い野菜類。(中略)ネバネバ食品や食酢、ハーブティーなどAGEをためない、つくらない食品は沢山あります。
引用:老ける食べ方 若返る食べ方
ブロッコリーやほうれん草、きゅうりなど緑黄色野菜には糖化を阻害してAGEを体内に貯めないαリポ酸が含まれている。特にオススメが「ブロッコリースプラウト」。ブロッコリーは生長するごとにαリポ酸も低下していくが、新芽であるスプラウトは大量に含まれている。ぜひサラダに。
AGE対策4|香辛料を利用する
インド国立栄養研究所の研究では、しょうが、にんにく、シナモン、クミン、黒胡椒、バジルなどの香辛料や調味料もAGE予防に有効だと報告されています。
引用:老ける食べ方 若返る食べ方
ラーメンを食べるなら、胡椒をたっぷり。揚げ物を食べるならレモンを、パスタならバジルなど、香辛料をたっぷりと使おう。
AGE対策5|電子レンジは最小限に
電子レンジ調理は、ゆでた調理よりもAGEの量を増やすことが報告されています。(中略)電子レンジはマイクロ波で食品の分子を振動させ高温状態にするので、焼き色がつかなくてもメイラード反応と同様の状態をつくってしまいます。
引用:老ける食べ方 若返る食べ方
AGEは「温度×時間」で増加する。例えば、入れたてのコーヒーに比べ、古いコーヒーは長時間熱を加えているたべ、倍倍でAGEが増加する。冷凍食品も同様にすでに調理積みの食材に火を入れなおすので当然、AGEが増加する。
最後に
糖質制限をしていると主食が肉となるため、ハンバーグや牛のステーキ、唐揚げやトンカツのような高温調理した肉の塊を食べるケースが多くなると思う。
若返り対策としての糖質制限は僕も大プッシュするが、AGE予防も同時進行で考えていきたいね。