映画『いのちの食べ方』命が食品へ変貌する衝撃ドキュメンタリー!

映画:いのちの食べ方のイメージ画像

日本で1日で消費される牛:約3,200頭豚:約45,000頭鳥:約1,750,000羽・・。

これだけの食肉をどのように確保しているのだろう。

そこには恐ろしいほどに工業化され、命を生み出し、加工する仕組みがあった。ベルトコンベアーにぶら下がった鳥は次々に首が飛び、悲鳴を上げる豚のはらわたも機械がエグり出す。作業員たちの表情は命を奪うことに麻痺し「肉」というモノでしか見ていないようだ。

今回紹介する映画は「いのちの食べ方」。英語圏でのタイトルは「Our Daily Bread(わたしたちの日々の糧)」。どうやら宗教的な側面のある言葉のようだが、公式HPやインタビュー記事もみつからず断念した。

映画は2005年に発表後、パリ、アムステルダム、アテネ、メキシコ・・。数々のグランプリを受賞した作品。

監督・ニコラス・ゲイハルターは、これまでチェリノブイリや、未開の地のドキュメンタリーフィルムを製作。本作は加工現場を約2年にわたり記録したものだ。

この映画は、「生命を加工する現場」の断片をつなぎ合わせ構成されている。音楽はもちろん言葉に文字、解説は一切ない。ただただ現場の作業音がだけが鳴り響く。

海外サイトでは映像を、「映画は不穏な夢のように画面上で展開します。(our daily bead unfolds on the screen like a disturbing dream)」と表現している。うーん・・たしかに・・。

あ、先に忠告しておくが、肉類をたべながらの鑑賞はお勧めしない。せめてスナックにしよう。

映画『いのちの食べ方(Our Daily Bead)』のあらすじ

この映画には、音楽はおろか、一切のインフォメーションが無い。よって、作品の大まかな内容は先に述べた以外は無い。

ひとつあげるなら、日本ではニュアンスの違いから「いのちの食べ方」となった映画タイトルだが、正式タイトル「OUR DAIY BREAD」は直訳すると「日々のパン」、意味は「日々の糧」だ。そのため作業員は何百、何千の豚や牛を処理した後、平然とコーヒーをすすりながらパンを食べる。なんでもない。それが日常なのだ。

ショッキングな映像に違いないが、どう感じるかはアナタ次第。それぞれが感じるよう見る。正解はない。

ここからは、印象にのこったシーンを簡単に紹介していく。

ナンバリングされ輸送される豚たち[ショック度:★]

家畜運搬車のイラスト

ゆるい始まりから本編にえぐりこんでくるシーン。沢山のブタがトラックで家畜運搬車で輸送中。背中にはスプレーのしるしが。いまから加工場に向かうのだろう。「ドナドナ」の歌が頭をよぎる。

ベルトコンベアーで運ばれる大量のヒナ鳥[ショック度:★★]

大量に孵化したヒヨコたちは、ベルトコンベアーで運ばれ、パンパンに箱詰めされる。生き物の扱いではない。こうして大量の鶏肉は育てられているのだなぁ。

牛の帝王切開[ショック度:★★★]

牛の帝王切開シーンを始めてみたのだが・・。え、立ったまま横っ腹切り裂いているが、、どてっぱらを切り裂いて子供を取り出すシーン。映像だけではその後食肉になるのか心配になるが、基本的に縫合するらしいので一応は安心・・。

リンゴのポストハーベスト農薬?[ショック度:★]

ライン分けされたプールをつぎつぎとリンゴが流れている。サイズ分別をしているのだろうか。情報が一切ないのでわからないが、大規模工場であることから、海外輸出向けに防腐、防カビのためのポストハーベスト農薬(収穫後の農薬)を兼ねたプールではないかと思う。

豚の加工[衝撃度:★★★★★]

ブタの加工のシルエット

 

このシーンはメシを食いながらは絶対に見れない。僕も「オエッ」となった。悲鳴をあげる豚たち生きたまま、ベルトコンベアーに宙釣りにする。ベルトコンベアーの先を見ると、血に染まったフロアーの上を、魂を失った豚たちが次々と通過していく様子が。

SF映画とダブって、これが人間なら・・と想像してしまう・・これは現実だ。

塩高山[衝撃度:★]

ここで意味のわからない映像が入り込む。恐ろしいほど地下に進むと、地下の真っ白な洞窟が続いている。塩鉱山だ。気になって調べてみると、塩鉱山は地下300m~400mに広がっているようだ。

ノルウェーのサーモン[衝撃度:★]

続いてサーモン(おそらくノルウェーのアトランティックサーモン)が、パイプで吸い取られていく。日本の回転寿司で食べるサーモンも同じ方法で大規模に水揚げされ加工されている。

豚の睾丸を切り取る[衝撃度:★★★]

子豚の去勢シーン。麻酔無しで睾丸にメスを入れ引き抜く。痛みのあまり悲鳴をあげる子豚。痛みのあまりショック死する子豚もいるという。肉のオス臭を防ぐ処置のようだ。この処置は動物愛護団体に批判される対象となっている。これが、うまい豚肉を育てる現場なのか。

鶏肉の加工[ショック度:★★★]

鶏肉加工のシルエット

椅子に座った女性が、首を切りそこなった機械にかわって鳥にナイフを入れる。下は血泥状態。僕がこの仕事してたら、正気を保てるのかな。日本の食肉工場も同様の処理が行われている。

牛[衝撃度:★★★★]

牛の加工のシルエット

最後にいちばん印象に残るのが牛の加工現場だ。特に最初の脳を打ち抜く機械を怖がっているシーンはなんとも言えない気分になる。「スパーンッ」と脳を打ち抜かれた牛は糸が切れたかのように、床に落ちる。

その後はまるで車の解体現場のように作業が進む。巨大電動ハサミで腕を切り、ローラーが皮をひんむく。巨大チェーンソーで真っ二つ。床は血みどろ、作業員の顔まで血に染まっている。

まとめ|映画『いのちの食べ方』を視聴した感想

子豚の写真

最初、この映画は屠畜を否定するベジタリアン監督のプロパガンダ作品なのかと思った。悲鳴を上げる動物の加工現場はそう感じるぐらい無情なものだ。

実際にこの映画の影響でベジタリアンになった人間も多いと聞く。人間の本来の食性が肉であることを考えると、単純には語れない話だ。

映画自体はブタ、トマト、レタス・・あらゆる食品工場のリアルを映像化したものに過ぎない。ここに何が良いとか悪いとかの主張は一切無い。判断を見たものに委ねるのは素晴らしい。

ショックでベジタリアンになるのもいいだろう。

他人の意見を聞くよりも、それぞれで見て感じることが重要な映画だと思う。